EVER GREEN

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第五章「夏の日に(後編)」

No,0 プロローグ

 一年前はほとんど気にも留めなかった。
 それが今では義理の姉、そして――

 椎名まりい。
 オレと同じ15歳。
 セミロングの焦げ茶色の髪に明るい茶色の目。
 おとなしい奴だと思いきや、意外に芯があって――
『さっきの長所に一つ付け足しておくよ。昇くんは向日葵みたいな人だって』
『昇くんはもっと幸せにならなきゃ』
 嬉しかった。本当に嬉しかったんだ。
『……どうなってもいいわけないだろ?』
 あの時の自分の気持ちに嘘偽りはない。


 一年前はその存在すら知らなかった。
 それが今では守るべき主。いつの間にかそいつの護衛騎士とやらになっていた。

 シェリア・ラシーデ・ミルドラッド。
 オレと同じ15歳。
 金色の長い髪に明るい茶色の目。
 黙っていればそれなりに可愛いのにいつも明るくて元気一杯で全然公女らしく見えない。
 世間知らずなのか、時々こっちを赤面させるような恥ずかしいセリフを堂々と言ってくれる。
『お願い。旅が終わっても、ずっと友達でいて、ね……』
 正直なんて言ったらいいのか迷った。あまりにもストレートだったから。


 二人はどういうわけか知り合い(っつーか、親友)で、髪の色を変えたらお互いそっくり。まるで双子だ。でもパッと見は全然違う。

 この二人がオレの高校生活に大きく影響を与えているということは言うまでもない。
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