EVER GREEN

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第十一章「未熟もの達へ」

No,0 プロローグ

 大人になれば、全てが解決すると思った。
 大人になれば、強くなれば。そうすれば、弱い自分を見返すことができるんじゃないかって。
 過去に涙する日々はうんざりだったから。得体のしれないものに恐怖する日々は嫌だったから。だから、周りに――あいつに、理想を重ねていたんだろう。
 けど、実際は違った。
 けど、それは決して悪いことなんかじゃない。むしろ、逆だ。

 今までたくさんの人に会った。

 そしてこれからも、たくさんの人と会っていくんだろう。
 それはいいものかもしれないし、悪いものかもしれない。
 けど、全部ひっくるめて『悪くなかったな』って思える日がきたら、それって最高なんじゃないかって思う。
 きっと、大切なことってどこにでもありふれてるものなんだ。近くにありすぎて、だから、なかなか気づこうとしない。本当は、手をのばせばそこにあるはずなのに。

 やるべきこと。これからやりたいこと。
 数えあげたらきりがないんだ。けど、やりたい。っつーか、やり遂げてみせる。
 やっと全てが繋がったんだ。これで終わりなんて嘘だろ。
「あの時なんで笑ってたか、やっとわかった」
 こんな簡単なことだったんだな。今の今になって、やっと気づいた。
「そんな顔すんなって」
 知ってた? 俺、まだ十五なんだ。まだまだやることが多すぎて、時間が足りないんだ。
 こんなところでもたついてる暇はない。だから。
「こんな哀しみの鎖、なくなってしまえ!」

 砕けたものは、何だったんだろう。
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